第26回「本好きのための読書会」は、『勇気』をテーマに持ち寄りました。
進む勇気、とどまる勇気。
変える勇気、変えない勇気。
こころの扉を開く勇気、守りぬく勇気。
あきらめる勇気、あきらめない勇気。
求める勇気、受け入れる勇気。
言葉にする勇気、聴く勇気。
いろんな『勇気』が集まって、こころのエネルギーになっていった時間でした。ご参加ありがとうございました。
『愛には、いさましさも含まれていて、勇気には、やさしさが含まれている』(やなせたかし著「ぼくが正義について語るなら」より)
持ち寄り本の紹介です。
●人間の土地へ 小松由佳
世界で最も困難と言われる山”K2”に日本人女性として初めて登頂した著者は、過酷な自然に生きる人々に惹かれ、フォトグラファーに転身。旅で出会った半遊牧民の男性と恋に落ちる。平和な砂漠の民がシリア内戦に巻き込まれていく様を内側から描き、人間とは何かを問うノンフィクション。
●せかいでさいしょにズボンをはいた女の子 キース・ネグレー/石井睦美(訳)
今から150年前のアメリカに、「女性はズボンをはいてはいけない」という常識に疑問をもち、非難されても行動し続けた少女がいた。のちの南北戦争で史上初の女性軍医となった、メアリー・エドワーズ・ウォーカー(1832年~1919年)の幼いころを描く絵本。何度か逮捕されながらも生涯男装を通した彼女は、女性の権利や衣装改革の問題に取り組んだ。
●<おんな>の思想~私たちは、あなたを忘れない~ 上野千鶴子
2019年の東京大学入学式における祝辞が話題となった著者には、「おひとりさまの老後」「ケアの社会学」など、介護に関係する著作も多い。自身の核に深く食い込む影響を受けたという東西の運動家や作家について論じ、パイオニアたちの足跡を次世代に伝える一冊。『前を行く人が苦しみを背負ってくれた。そんな彼女たちの言葉が私の血となり肉となった』
●あんぱんまん
●わたしが正義について語るなら やなせたかし
初めて子ども向け絵本に書いたときは、「自分の顔を食べさせるなんて残酷だ」と苦情が来た。『愛と勇気だけが友達さ』という歌詞にも、抗議が来た。『これは、戦う時は友達をまきこんじゃいけない、戦う時は自分一人だと思わなくちゃいけないんだということ』なのだと作者は言う。「アンパンマンのマーチ」の歌詞には、「正義」という言葉への思いが込められている。
●リトルレッド~あたらしいあかずきんのおはなし~
●ラプンツェル~あたらしいかみながひめのおはなし~ ベサン・ウルヴィン/関根麻里(訳)
誰もが知っている「女の子のお話」が、ブラックで大胆な新解釈と鮮やかなイラストの絵本になった。相手がオオカミだろうと魔女だろうと怖くない。狩人も王子様も必要なし!
●はじめてのおつかい 筒井頼子/林明子
1977年発行のロングセラー絵本。初めてのおつかいは、自転車に驚いたり、転んでお金を落としたり。でも、勇気を出して一歩一歩前へ。細部まで作り込まれた街の様子や人々の豊かな表情など、見どころ豊富で大人も一緒に楽しめる。
●嫌われる勇気 岸見一郎/古賀史健
哲学者と青年の対話という形式で、アドラー心理学の真髄をわかりやすく教えてくれる。あなたを嫌うかどうかはあなたの問題ではなく、相手(他人)の問題。『世界が複雑なのではなく、ひとえに「あなた」が世界を複雑なものとしているのです』
●ほめるのをやめよう~リーダーシップの誤解~ 岸見一郎
上司であることに自信がない人、上司であることが辛い人に、「嫌われる勇気」の著者が贈るリーダー論。リーダーと部下は「対等」であり、「力」で率いるのではなく「言葉」で協力関係を築く。多様性の時代に求められるのは、カリスマ性ではなく「民主的なリーダーシップ」なのだ。
●カタツムリと鯨 ジュリア・ドナルドソン/アクセル・シェフラー/柳瀬尚紀(訳)
とっても小さいカタツムリが、とっても大きな鯨のシッポの先に乗って大海原へと旅に出る。ある日、鯨に訪れたピンチを救うため、小さなカタツムリがとった勇気ある行動とは?
●かべのむこうになにがある? ブリッタ・テッケントラップ/風木一人(訳)
大きな赤い壁の向こうには何があるのかな? 誰に聞いてもわからない、関心もないみたい。自分で確かめたいと思ったネズミは、鳥に頼んで背中に乗せてもらった。壁を越えたネズミが見たものは…。『ほんとうのものを みる ゆうきがあれば かべは きえる。ぜんぶ きえたあとには きっと すばらしいせかいが あるはずだよ』
●こんな夜更けにバナナかよ~筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち~ 渡辺一史
人間としての自由を貫き通そうとした重度障害者、さまざまな思いで彼の元に集まったボランティア。その日々は、壮絶な「戦場」とも言えるものだった…。支え合い、エゴをぶつけ合う人間関係を通して、「自分と他者」「自己決定と自己責任」について考えさせられる。地域で生きることを選択する障害者は『人との関りを断って部屋にこもっていては生きていけず、障害が重ければ重いほど多くの人間関係を結び、その関係が豊かでなければいい介助が受けられない』(あとがきより)
●ギザギザハートのアスペルガー 臼井志乃/中原慎太
『白衣を脱ぎ、ド派手なワンピース姿で』入院患者と一緒にピアスを作る薬剤師と、発達障害と診断された青年が出会い、二人の交流が生まれ、奇跡のような一冊の本になった。『変化を望めば厳しい現実にも直面するだろう。失敗も繰り返すことだろう。だが行動を起こさねば手に入れることもまたかなわない。その辛苦の先にこそ進化はある。その辛苦の先にこそ希望はある。その辛苦の先にこそ未来がある。(慎太の手記 その10より)』
●やめて! デイビッド・マクフェイル/柳田邦男(訳)
表紙の男の子は、誰に何を「やめて!」と言っているのでしょう。頭上に戦闘機が飛び、戦車や兵士たちが通り過ぎるなか、大統領に宛てて書いた手紙を握りしめて男の子はポストに向かって歩く。さまざまな暴力を目撃しながら、黙々とポストを目指す。すべての暴力に対して「やめて!」と訴え、争いのない未来を願う絵本。
●あきらめる勇気~老いと死に沿う介護~ 村瀬孝生
福岡にある宅老所「よりあい」の職員とお年寄りの「事実」と「思考」の記録。『ひとりの人が抱えた問題を解決するために他者と力を合わせて働くことが「よりあい」の原点である。金によって安心を買うのではなく、働くことで安心をつくるのだ』
●大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】
●「治る」ことをあきらめる「死に方上手」のすすめ 中村仁一
後期高齢者となった医師だからこそ言える、きれいごとを排した医療と介護の真実とは? 『医療は、人生を豊かに、また幸せにし、人間らしく死ぬために利用する一つの手段にすぎません』『死を考えることは、いのちが有限であることを視野の片隅に置いて、それまでをどう生きるかという問題を考えること』
●弱さの研究~「弱さ」で読み解くコロナの時代~ 向谷地生良・べてるの家の人々ほか
コロナ禍の今、べてるの人々が不思議に元気が出てきているのだという。『べてるの三密「密な相談ーとにかく相談し合う」」密なつながりー孤立を防ぐ」「密な確認ー自分で判断せずに確認し合う」それを大事によくやってますよね』と向谷地氏。
●もぐらのバイオリン デイビッド・マクフェイル/野中ともそ
ある日、美しい音楽に出会い感動したモグラは、バイオリンの練習を始める。地面の下で、ひとり黙々と練習を続けるモグラが奏でるバイオリンの音色は、地上の木や動物や人々を癒し、地上の世界を豊かに彩っていく。
●ぼくのつばさ トム・パーシヴァル/ひさやまたいち(訳)
ある日突然、背中に翼が生えてきた男の子。誰にも言えずに悩んだ男の子は、コートで翼を隠してしまう。家の中でも、お風呂に入るのも、コートを着たまま。でも、勇気を出してみたら・・・仲間がたくさんいた!
●夜回り猫7 深谷かほる
涙の匂いをかぎつける「夜回り猫」遠藤平蔵が主人公の8コマ猫マンガ最新巻。うれしいとき、悲しいとき、悔しいとき、なぜかわからないけど涙が出るとき、そっと寄り添ってくれる平蔵と、その仲間たち。生きることの厳しさ、それでも生きていく勇気。
●キャットニップ3 大島弓子
「綿の国星」「グーグーだって猫である」などの名作を送り出してきた作家が、愛と別れを見つめながら猫と暮らす現在を描く、コミックエッセイ第3巻。言葉を持たない小さなものたちの命を引き受け、共に暮らしていくための、愛と勇気づけの書。
●フクシマ事故と東京オリンピック 小出裕章
●原発ゼロをあきらめない 小出裕章ほか
専門家の立場から原発の廃止を40年以上訴え続けている小出氏が、2019年12月『世界に告ぐ、東京オリンピックは即刻中止!』『真実から目を逸らすことは犯罪である』との覚悟のメッセージを発信。10年前のあの日、政府から出された「原子力緊急事態宣言」は今も解除されていない。環境汚染の主犯セシウム 137の半減期は30年、100年後に10分の1。日本は、今も100年後も「原子力緊急事態宣言」下にあるということを忘れてはならない。
●しあわせの石のスープ ジョン・J・ミュース/三木卓(訳)
旅の僧侶たちが訪れた村は、度重なる戦争や災害で人々の心が疲れ切っていた。どの家も扉を閉ざし、自分のことしか考えてない。そんな村で僧侶たちが始めたのは、「石のスープ」を作ること。興味をもった一人の女の子が話しかけたことをきっかけに、村の人々が次々に食材を持ち寄って、交流が生まれていく。
写真投稿で参加したメンバーからの紹介本は、保育所から巣立っていく子どもたちに贈りたい3冊です。
●そしておめでとう 瀬戸口清文/えがしらえみこ
NHK「おかあさんといっしょ」の8代目”体操のお兄さん”が遺した卒園ソングが絵本になった。入園から卒園までの思い出をたどる詩は、子どもたちの成長を願う愛情があふれている。楽譜付き。『げんき ゆうき えがお ありがとう そして おめでとう』
●会いたくて会いたくて 室井滋/長谷川義史
いちばん会いたい人に会えない、想いがあるほど会うことを躊躇してしまう。そんな今の状況下で、子どもたちに伝えたい「つながっていること」「心はつうじていること」。男の子が、施設にいるおばあちゃんと糸電話で話す場面が素敵。
●いっぽいっぽのくつ 潮田玲子/かべやふよう
最初の一歩は、誰だって勇気がいる。作者は元バトミントン日本代表選手で、『ゆめや もくひょうに むかって いっぽいっぽ すすもう‼ そのさきの みらいは きっと かがやいています』という自筆メッセージも。