読む時間がない人でも大丈夫ってことで始めた読書会の2回めは、ケアする仕事に従事するメンバーのため、SNSのグループ投稿を使って行いました。
1回目は、プロローグ「交感するケア」だけで盛り上がってしまい、ぜんぜん進みませんでした(笑)
⇒過去記事「おもしろくて深い読書会」
それもオッケーなのですが、今回は、第1章と第2章から好きな文章や言葉を選んでコメントをつけて投稿し、メンバーで共有するという形にしました。
ご参加ありがとうございました。
メンバーが好きだった言葉から、一部を紹介します。
●言葉の肌理(きめ)
●はらわた語
●地の声・地の言葉(=方言)
言葉や声には、触感というものがあり、言葉のもつテクスチャー(肌ざわり・質感)が大きな意味をもつことがある。
呼びかけや語りかけには、グルーミング的働きがあり、それは地の声でないと。
体の中から出てくる方言には、言葉の意味そのものよりも大事な何かを伝える力がある。
腑に落ちるって、まさに《はらわた語》が《はらわた》に入ったということなんだなあ。
『人間の気持ちって、嬉しいとか悲しいとか、そんなすっきり行くものではないんですよね。苦しいけど嬉しいとか、悲しいけど腹が立つとか、複雑にもつれているものだと思う。なので、絵文字でニコッとされても、それを真に受けていいのかどうか』
『いま世の中で話されている言葉って、みんな書き言葉みたいでしょう』
『はらわた語というか、内臓言葉じゃないのね』
『地の声っていうのは、子どものときからシャワーのように浴びてきた言葉ですね』
●汲みとる
●途方に暮れ合う
理論ではなくて、うまく説明できないようなこと、これだけは譲れないというようなこと。
あるいは、自分でも気づいていないようなこと、聞かれても説明できないようなこと。
ケアの現場で日々起きている《途方に暮れ合う》ことのなかには、マニュアルではどうにもならないことがある。
それを発見し、《汲みとる》ということが、ケアする人の勇気づけになる気がする。
『なぜ臨床が好きなんですか?と聞かれたときに思うのは、そこがゴルフ場のようなきれいな人工芝じゃないからです。水たまりがあったり、道がゆがんでガタガタしていたり、ミミズがちょこっと出てきたりする。時には、道が途切れていることにホッとしてみたりね。自然物なんです、臨床も』
●相対的にベスト
船の底に穴が空いたら、ドッグに入れて修理して、直してから航海に出るけれど、ケアの現場にはドッグに帰る余裕はない。とりあえず応急処置を続けながら、根本的な解決も同時に考えながら、進んでいくしかないのだ。
目の前に、痛み、悲しみ、助けを必要とする人がいるのだから。
『「しおどき」とか、「落としどころ」とか、「たいがい」という言葉で、その都度、それが相対的にベストと判断しながら、つまり船底を直しながら進んでいくのが臨床なんだと思います。ドッグには帰れないし、帰らない』
今、まさに『相対的ベスト』を探りながら手を尽くし心を尽くし、奮闘の日々を過ごす現場の方たちへ。
心からの敬意と感謝の気持ちをこめて。
ありがとうございます。