人にやさしい介助を学ぶ⑬

キネステティクス®を学ぶ人たちが中心になって開催している「人にやさしい介助を学ぶ」⑬は、家族を介護している方を迎えて行いました。

日ごろの介護で「うまくいかない」「これでいいのか不安」などと感じておられる場面を再現しながら、「うまくいかない」と感じている理由を一緒に探っていき、それを解決する方法も一緒に探るという流れで進みました。

「なるほど!」と理解できたことを、介助する→介助される→介助すると体験していき、「なるほど!」を積み重ねることで、自然と体が覚えて動いていかれました。

地域の方に来ていただくことで、「人にやさしい介助」の原点を再確認できた時間となり、心から深く感謝です。

ご参加の皆さま、ありがとうございました。

今回の主なポイントをまとめてみました。

すべて、相手の心と体の緊張を高めないためです。

 

●相手の体に触れるときは、肩や骨盤や肘など“ホネ”のある固いところを、介助者の柔らかいところ(手のひらや腕の内側)を使って接触面を大きくして触れる。

 ⇒固いところに触れたほうが相手の不快感が少ないし、介助者の動きも伝わりやすいこと、また、介助者の指先に力が入っていたり掴まれたりすると、相手の痛みや緊張につながることも体験していただきました。

 

 

●相手の動きを妨げたり能力を奪ったりしないために、できるだけ相手の手や足も“参加”してもらうような介助にする。

「できない」や「あぶない」「時間がかかる」などの決めつけで一方的に動かそうとする介助は、本来は使えるはずの相手の手や足を使わさない介助法になってしまいます。

 ⇒普段は無意識にやっている自分自身の動き方を分析しながら、手や足が体の動きをコントロールしていることを体験していただきました。

 

 

●認知症の人の不安や緊張を高めないために、相手の“時間”で介助する。

人は、目や耳や体の感覚を通して収集した情報を、脳の中で処理しています。そして、自分の置かれた状況に意味を付けて判断して行動しています。その意味付けがうまくいかないとき、何が起きているのかわからない恐怖や、これからどうなるかわからない不安を感じています。相手の目や耳や体の感覚を通して、相手のペースで、介助者の存在を受け入れてもらうことから始めなければいけません。

 ⇒介助者のペースで進めてしまうと、相手の心も体も準備ができていないので緊張が高まることや、相手の体に触れながら心と体の準備をしてもらう方法などを体験していただきました。

 

 

 

講座のなかで体験したことが、そのまますぐに実際の介護場面で再現できるとは限りません。

練習と実際は違います。

けれど、うまくいかないときには理由があり、対処できる方法もあり、一緒に考える仲間がいることも知っていただけたと思います。

 

 

ご本人と家族の願いがかなうように、私たちも学び続けていきましょう。

 

次回「人にやさしい介助を学ぶ⑭」は、12月8日(日)10時~12時です。

初めての方も、どうぞお気軽にご参加ください。