第16回「本好きのための読書サロン」は、『鳥』をテーマに本を持ち寄りました。
名作と言われる子ども向けの本は、大人になってからも読むたびに気づきがあり、生きることの悲しみや喜びを深く教えてくれるものだと、また改めて今回も思いました。
素晴らしい本との出会いをありがとうございました。次回は、8月10日です。
●パリの青い鳥 ヴェロニク・ウィルマンほか
パリの風景を写し取ったモノクロの写真に、男の子とハトを青色で彩色した絵本。男の子と一緒にパリの街を歩いているような、モノクロに際立つ青が印象的な一冊です。
●しあわせの王子 原作:オスカーワイルド/絵と文:いもとようこ
オスカーワイルドの名作をもとにした、やさしいタッチの絵本。死を惜しまれて金箔と宝石で飾られた像になった王子は、町の人々の暮らしを知って悲しみ、南に帰ろうとしていたツバメに頼んで金箔や宝石を届けてもらいます。王子の金箔がなくなって灰色になった頃には、冬が来てツバメは死んでしまいます。心やさしく人々に尽くした王子も、心やさしい一羽のツバメを犠牲にしてしまったのでした。ツバメの死を悲しんだ王子が本当に死んでしまうという、そのあたりが気になるので、原作を読んでみようと思います。
●あおのじかん イザベル・シムレール/石津ちひろ
昨年の8月の読書サロンでも紹介されました。青い星・地球に生きる青い生き物たちを精緻に鮮やかに描いていて、鳥もたくさん登場します。どのページを開いても、うっとりと眺めてしまう美しい絵本です。
●あいしているから マージョリー・ニューマン/パトリック・ベンソン
もぐらのモールくんは、巣から落ちた小鳥を連れて帰って一生懸命お世話をするけれど、カゴに入れられた小鳥は悲しそう。「あいしているから」ずっとそばにいてほしい。でも、「あいしているから」自由に空を飛びまわってもらおう。
●青い鳥 原作:メーテルリンク/絵と文:いもとようこ
魔法使いに頼まれたチルチルとミチルの兄妹が、妖精に導かれながら様々な場所を訪れて「幸せの青い鳥」を探すという有名なお話。ほんとうの幸せは、今ここに・・・。
●そらをとびたかったペンギン 申ももこ/はやしみこ
ペンギンのモモは、鳥たちが集まる森が大好きだけれど、他の鳥のように飛ぶことができません。一生懸命に練習をするのですが、だんだん悲しくなってきて、・・・。人と違っていても、できないことがあっても安心して生きられる社会に。巻末に、発達障害などの解説つき。
●ペンギン空を飛ぶ エクスナレッジ
ペンギンは飛べないと思われているけれど、実際には飛んでいる! 飛んでいるペンギンの決定的瞬間を集めた、美しい写真集です。
●にっぽんツバメ便り 宮本桂(写真)/ポンプラボ(編)
いちばん身近な渡り鳥・ツバメについて、その愛らしい表情や決定的な瞬間をとらえた写真とともに解説。子育てをするために、なぜ南の国からわざわざ数千キロの海を渡って日本にやってくるのか? 可愛く健気なだけではない、野生動物としてのツバメの姿も明らかに。また、農薬の問題や減少する田んぼといった日本の環境問題にも触れられていて、表紙のツバメの黒いつぶらな目が、何かを訴えているようにも思えてきました。
●もういちど読みたい宮沢賢治~よだかの星~
みにくい姿ゆえに蔑まれ嫌われ続けるよだかは、小さな羽虫を食べて生きている自分の宿命に気づき、自らを嫌悪し絶望します。太陽にも星にも相手にされず、一直線に空を飛び続けたよだかは、やがて、青白く燃え続ける星になりました。
●西洋画家の巨匠~シャガール~
愛と幻想の画家、シャガール。白ロシア(現ベルラーシ共和国)から芸術の都パリへ。ユダヤ人迫害を逃れての亡命と最愛の妻の死。画面にあふれる「愛と幸福」には、失意や悲しみからの救済のビジョンがあるという。シャガールの絵には、赤い鳥や鶏がたびたび描かれており、重要なモチーフとなっています。
●家のまわりで見られる鳥50種 叶内拓哉
ごく身近にいる野鳥50種類を解説している、手のひらサイズの一冊。かわいいバードコールが付いているので、実際に鳥を呼びながら楽しく遊べるという図鑑です。
●カササギ殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭(訳)
貴族の屋敷で働いていた家政婦の葬儀シーンから始まる物語は、名探偵の登場で「事故死」から殺人事件になり、容疑者が次々出てきて読みだしたら止まらない。カササギは、七夕伝説では織姫と彦星をつなぐ架け橋になりますが、ヨーロッパでは「おしゃべり好き」とか「泥棒」などのイメージだそうです。冒頭の墓場のシーンに、カササギの群れと、村に伝わるカササギの「わらべ歌」が出てきて、不吉さを盛り立てます。史上初、ミステリーランキング全制覇というイギリスの探偵小説です。
●夜回り猫 深谷かほる
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物の「涙のにおい」をキャッチして、話を聞いていく物語です。猫マンガなのですが、要所要所に鳥も登場。姑獲鳥に襲われているところを平蔵に助けられた子ネコは、右目を失いながらも懸命に生き抜きます。見習い夜回り猫:ワカルを大きなネズミと間違えて捕えた鳥は、ワカルのスカーフを借りて子育てし、南の国へ帰っていきます。
●ねずみ女房 R・ゴッデン/W・Pデュボア/石井桃子(訳)
森で捕らえられた美しいハトは、優雅で金ピカのカゴに入れられました。一日、二日は格子をつつき翼をひろげて鳴きましたが、やがて黙ってしまい、水も飲もうとしませんでした。ハトに語りかけ、麦畑や野山を飛ぶ話を聞くようになったねずみ女房は、渾身の力でもってカゴの戸を開けてハトを逃がします。ひとりぼっちになったけれど、ハトが飛び去った窓から星を見たねずみは、ほかの誰も見たことのない星を自分の力で見たことを誇りに思うのでした。
都合で参加できなかったメンバーから、おすすめしたかった本の写真が届いているので紹介します。
ありがとうございます。
楽しそう~♪