青は藍より出でて・・・

2ヶ月に一度、本好きの人たちが本を持ち寄って語り合う「本好きのための読書サロン」。

今回のテーマは「青」。“あお”にまつわる美しい本たちが集まりました。

青、藍、蒼、碧、紺、群青、みずいろ、そらいろ、すみれいろ…。雨、海、空、地球…。

青い鳥、青い服、青い帽子、青いバケツ…。

そして、青春~♪

いくつになっても、青春の迷いと探求は続きます。

青は藍より出でて藍よりも青し。

●出家とその弟子 倉田百三

「出家とその弟子」は、大正6年、作者が26歳のときに出版された。真宗の教祖・親鸞、父にそむいて放蕩する息子・善鸞、修行の身で恋愛に悩む弟子の唯円などを中心にした群像劇の戯曲。

 

 

 ●愛と認識との出発 倉田百三

「後れて来たる青春の心たちへの贈り物として」この本を出版する、と記されている。若さゆえの過失と苦悩と試練の中から正しく生きゆく道を切り開いてきたのであるが、自分を育ててくれた(多少とも自分が傷つけているところの)人々に感謝し、その幸福を祈らないではいられないのであると。

 

 

●青春をいかに生きるか 倉田百三

 書とは? 「書物は他人の労作であり、贈り物である。他人の精神生活の、あるいは物的の研究の報告である」「人間共存のシンパシィと、先人の遺産ならびに同時代の寄与とに対する敬意と感謝の心とをもって書物は読まるべきである」「書物とは、人間と人間との橋梁であり、人間共働の記念塔である」

 

 

●青春とは心の若さである サムエル・ウルマン

作者は、アメリカの実業家・詩人(1840年~1924年)。「年を重ねただけでは人は老いない。理想を捨てた時に初めて人は老いる」「青春とは、ある期間ではなく、心の持ち方をいう」

 

 

●たゆたえども沈まず 原田マハ

 1880年代、華やかなパリの美術界で流暢なフランス語をあやつる一人の日本人画商。印象派の画家に大きな影響を与えた「ジャポニズム」の仕掛け人と、日本に憧れる売れない画家ゴッホ。献身的にゴッホを支える弟テオ。ゴッホの代表作「星月夜」の青、「ジャポニズム」の象徴である歌川広重「大はしあたけの夕立」の青、カバーを外した表装の青と黒、手元に置きたくなる本。

 

 

●ゴッホ 小学館ウィークリーブック

 ゴッホといえば、ひまわりや太陽の黄色(生命の象徴)をイメージするかもしれません。ゴッホの青は、「聖なるものへ至る天上の青」。耳切り事件後に過ごした療養所の窓から見た風景を描いたとされる「星月夜」。最期の地で描かれた「オヴェールの教会」の空と窓は、昼なのに深い夜のような青に閉ざされている。「オリーヴ園のキリスト」(現存しない作品)では、キリストが濃い青で、天使がレモンイエローで描かれていたという。

 

●青の本

『空の蒼 水の碧』『水と大気につつまれた青き星』眺めているだけで、気持ちが落ち着いていくフォトメッセージ。鳥や魚や虫や花たちも。「白鳥(しらとり)は哀しからずや 空の青 水のあをにも 染まずただよふ」若山牧水。

 

 

 

●ふしぎなあおいバケツ なりたまさこ

公園で見つけた青いバケツ。冷たい水に手を入れてみると、あらあら不思議。どんどん大きくなって、みんなで水遊びして、クジラも一緒に泳いだりして。ページをめくるたびに、わくわくしてしまう楽しい絵本。

 

 

●ふしぎなあおいふく サトシン/ドーリー

一目で気に入って買ってもらった青い服は、願いがかなう不思議な服。ボタンを押すと空を飛べる! 動物と話ができる! 5つ目のボタンを押すと…? 女の子の瞳がキラキラの星に描かれていて、うきうき感が伝わってくる。

 

 

●あおい 西加奈子

西加奈子デビュー作。クライマックス場面で登場する「青紫の百合のような花」。その綺麗な花の名前は判明しないが、「そんなん、なんだってええんちゃうん?」と言ってくれる友の存在。あの花は、あなたの花、それだけでいい。

 

 

●空が青いから白をえらんだのです~奈良少年刑務所詩集~ 寮美千子(編)

美しいレンガ建築の刑務所。「彼らは一度も耕されたことのない荒地だった」。「詩の教室」で少年たちに寄り添い続ける作家が選んだ57編の詩。心の奥にしまいこんだ葛藤や優しさが、自分の言葉で紡ぎだされていく。詩という表現によって仲間と共有され、存在価値を認め合っていく。子どもに関わる人たちに読んでほしい本。

 

 

●青い鳥の本 石井ゆかり

ぱっと開いて、開いたところのページを読む本。今日一日、なにかいいことがありそうな気持ちになれるやさしいイラストもすてき。

 

 

●日本語を味わう名詩入門~谷川俊太郎~

美しい日本語を味わうことのできる詩人シリーズ。「空の青さを見つめていると 私に帰るところがあるような気がする だが雲を通ってきた明るさは もはや空には帰ってゆかない」

 

 

●生きる 谷川俊太郎/岡本よしろう

谷川俊太郎の詩「生きる」が絵本に。蝉や蟻やスイカにひまわり、縁側とおじいちゃんと虹…子供たちが過ごす何気ない夏の日々の情景に、「生きているということ いま生きているということ」のリアリティがある。「そこで何が起こっていても、誰が何をしていても、その短い時間の中に<永遠>をはらんでいる」

 

 

●おやすみのあお 上田真

静かで透明な空気、繊細な青。ひとりひとりの“おやすみ”の時間に寄り添ってくれそうな本。挿し入れられた“青色ではない”一ページが、さらに豊かで深い時間を創造しています。

 

 

●あおのじかん イザベル・シムレール

太陽が沈み、真っ暗になるまでの時間。みずいろから濃紺に変わっていく空の下に生きる、さまざまな青い動物や植物たち。鮮やかで繊細な絵に見とれているうちに、この青く美しい星に生きていることの幸せで満たされてくる。

 

 

●ぼくのふとんはうみでできている ミロコマチコ

布団のなかで空想する世界は、楽しくて愉快で不思議でドキドキ。「ぼくのふとんは うみでできている なみがザーンザーンと おとをたてる きょうは ねこのシロといっしょにねる」「ぼくのふとんは ねこでできている もぞもぞ にゃあにゃあうごいている」

 

 

●へんしんねこ 星野イクミ

 ある日、黒猫くろちゃんの体が、びよ~んと長く伸びてしまいました。困ったくろちゃんですが、飼い主の家族のために物干し竿になったり滑り台になったりして、だんだん嬉しそうな顔になっていきます。次は何に変身するのかな。うちの黒猫ちゃんも、びっくりするくらいびよ~んと伸びますよ。

 

 

●すみれ島 今西祐行/松永禎郎

「いく機の特攻機が 子どもたちのすみれを持って 南の海にちっていったことだろう」太平洋戦争が終わったあと、南の小さな無人島にひっそりとすみれの花が咲く。小さくとも、静かに強く平和を願う花を咲かせ続けよう。

 

 

●せかいでいちばんつよい国 デビッド・マッキー

世界中の人びとを幸せにするために世界中を征服しようと戦争を続ける国。自分たちの暮らしが一番いいと信じて。兵隊の青い帽子は、統率、服従、画一などの象徴かも。いろんな読み方ができる絵本。

 

都合で参加できなかった会員さんたちから、写真とメッセージが届きました。

ありがとう♪

 

●キツネと星 コラリー・ビックフォード・スミス

森に住むキツネは、夜空に輝くたった一つの星が友だち。ある日、その星がいなくなってしまいました。キツネは星を探す旅に…。布貼り装丁が美しく、贈り物にしたくなる本。

 

●二十億光年の孤独 谷川俊太郎

青春の孤独を見つめる詩人のデビュー詩集。『万有引力とは ひき合う孤独の力である』『宇宙はどんどん膨らんでゆく それ故みんなは不安である』

 

 

●青の本 ネイチャー・プロ編集室

 

●星空の 谷川俊太郎 質問箱 谷川俊太郎

「ほぼ日刊イトイ新聞」の、一般読者からの質問に詩人が回答するという企画から生まれた本の第2弾。シンプルで温かな詩人の言葉たち。

 

 

次回は、10月13日(土)19時~21時です。

テーマは改めてお知らせいたします。

お薦めの一冊、自慢の一冊を持ってのご参加お待ちしております。