人は風になにを想う

本好きのための読書サロン⑪は、「風」をテーマに開催しました。

 

気象における「風」は地球の大気の流れのことですが、目に見えない空気のようなものの象徴としても使われますね。

逆風、風評、和風洋風などのように。

 

人が描く豊かなイメージや日本語の奥深さに感動し、視覚と聴覚と体感覚を刺激される時間でありました。

皆さま、ありがとうございました。

持ち寄られた本をご紹介します。

 

 

●文字の絵本 風の又三郎 宮沢賢治/吉田佳広

おなじみの物語を、文字とデザインでビジュアル化した絵本です。漢字、カタカナ、ひらがなたちが、ぐるぐる回ったり吹いたり揺れたり。視覚・聴覚・体感覚で味わう『風の又三郎』。

 

 

●宮沢賢治のオノマトペ集 栗原敦(監修)/杉原淳子(編集)

宮沢賢治の作品に特徴的なオノマトペを集めて分類して解説した一冊。『風』の章には、もちろん『どっどどどどうど どどうどどどう』が。それぞれのオノマトペが、手書きのイメージなのも楽しいです。

 

 

●風の電話~大震災から6年、風の電話を通して見えること~ 佐々木格

岩手県大槌町にある、電話線がつながっていない電話ボックス。そして「森の図書館」。その成り立ちから現在の活動について語られた本。ここにも、宮沢賢治が。

 

 

●かぜのでんわ いもとようこ

「風の電話」をもとに描かれた絵本。もう会えなくなった人に、伝えられなかった想い、伝えたい想いを電話で話す。つながっていない電話で、声に出して言ってみる。

 

 

●きたかぜとたいよう~イソップ童話~ バーナデット・ワッツ/もきかずこ(訳)

イソップ童話の中でも有名な話ですが、この絵本は、太陽や北風が擬人化されおらず、風景も美しく描かれています。教訓めいた話が多いイソップですが、この「北風と太陽」も読み方や解釈はいろいろかもしれませんね。

 

 

●アイデアたまごのそだてかた コビ・ヤマダ/メイ・ベソム

What Do You Do With an Idea? なにかいいことを思いついたとき、きみならどうする? 夢みたいなアイデアだったり、変わっていると思われたりしても、それは自分のもので、いつもきみと一緒だ。大切に育てよう。殻が割れたとき、世界が変わるよ。

 

 

●ふたり 甲斐みのり/福田利之

ひとりで生まれて、いつかひとりで死んでいくのだけれど、今は、ふたり。大切な人との出会いの奇跡。美しい絵を見ていると、芳しくやさしい風に包まれているみたいな気持ちになる。大切な誰かに贈りたい本。

 

 

●「いい人」をやめると楽になる 曽野綾子

他人にどう思われているか、どう評価されているか。そんなことには、縛られない、失望しない、傷つかない。人づきあいの悩みが軽くなるかもしれない「曽野綾子語録」です。

 

 

●ジルベルトとかぜ マリー・ホール・エッツ/たなべいすず(訳)

ジルベルトは、かぜと友だち。かぜと遊ぶ。かぜと会話する。子どもころ見たり聞いたり感じたりできた「風」を思い出させてくれる、大人も読みたい絵本。マリー・ホール・エッツの世界を堪能できます。

 

 

●かぜはどこへいくの シャーロット・ドロトウ/ハワード・ノッツ/松岡享子

「かぜは止んだらどこへいくの?」小さな男の子の「なぜ?」に優しく応えていくおかあさん。今日の終わりは明日の始まり。「ほんとうに ぐるぐるぐるぐる 続いていくんだね」「おしまいになっちゃうものは なんにもないんだね」

 

 

●窓から見える世界の風 福島あずさ/nakaban

気象学者である著者が世界各地から50の風を集め、絵と散文で紹介している本。地中海やアラビア海の風とともに、「目で見ることができる風」として、愛媛の「肱川あらし」も登場。なるほど確かに、見える「風」です。

 

 

●はじまりの日 ボブ・ディラン/ポール・ロジャース/アーサー・ビナード(訳)

1974年発表の「Forever young」は、息子を思いながら作られた曲。シンプルでさわやかな絵に、アーサー・ビナードの日本語訳が心地よくのっています。『毎日が きみの はじまりの日 きょうも あしたも あたらしい きみの はじまりの日』

 

 

●トマシーナ ポール・ギャリコ/山田蘭(訳)

前回の「ジェニィ」に続いてポール・ギャリコの名作登場。本作も「死と再生」をテーマに、子どもと猫が登場。「ジェニィ」を大叔母にもつ猫「トマシーナ」が殺されるところから始まり、激しい雷鳴とラベンダーの香りと嵐の夜に物語のクライマックスを迎えるという猫ファンタジー。猫好きなら必読の一冊です。

 

 

●アースシーの風 ゲド戦記Ⅴ ル・グウィン/清水真砂子(訳)

故郷の島で静かな余生をおくるゲド。ふたたび竜が暴れだしたアースシー世界を救うのは、「もうひとつの風」にのるテハヌーとアイリアン。そして、異文化の国からきた王女と巫女だったテナー。女性が大活躍。「古代の言葉」を手放した人間は、この世界になにをもたらしたのか。

 

 

●めっきらもっきら どおんどん 長谷川摂子/ふりやはな

神社にある大きな木の穴から落ちた男の子。異界に入り込んで、そこの住人たちと仲良しになって遊び回っていたけれど、ふと心細くなり・・・。躍動感のある絵や言葉が楽しめる、日本のファンタジー。

 

 

●夕凪の街 桜の国 こうの史代

「夕凪の街」は、映画化されて話題になった「この世界の片隅に」の作者が2003年に描いた、広島に生きた一人の女性の物語です。『十年たったけど、原爆を落とした人は わたしを見て「やった!またひとり殺せた」とちゃんと思うてくれとる? ひどいなあ てっきりわたしは死なずにすんだ人かと思ったのに』

 

 

●はるかぜさんぽ えがしらみちこ

可愛い女の子と草花や虫や動物たちが描かれた、季節感あふれる「おさんぽシリーズ」です。ページをめくるたびに、女の子のワクワクする気持ちが伝わってきて、にこにこ。やさしい気持ちになる絵本です。

 

 

●風の名前 高橋順子/佐藤秀明

日本に2145あるという「風の名前」から、382語を厳選。写真や詩やエッセーで紹介する新感覚の歳時記。日本の四季、歴史、記憶の中の風景に出会える一冊。「雨の名前」「花の名前」「空の名前」などのシリーズあり。

 

 

●四季抄 風の旅 星野富弘

不慮の事故で手足の自由をなくした著者は、口に筆をくわえて詩画を制作することに楽しみを見出します。季節の草花に想いをのせて描かれる生命の詩。『いつか草が 風に揺れるのを見て 弱さを思った 今日 草が風に揺れるのを見て 強さを知った』

 

お茶の時間は、お土産にいただいた「いちご大福」。

ひとつひとつのパッケージに、手書きの顔が♪

ありがとうございました。

大福餅の中にイチゴ・・・今では当たり前みたいですが、最初に始めた人はスゴイですね。

(発祥については諸説あるらしい)

 

次回の読書サロンは、8月18日(土)19時です。

ご参加お待ちしております。