愛媛県の事業「新人介護職員定着促進プロジェクト」の事例集ができました。
参加した9事業所が、自分たちの「ありたい姿」を描き、課題に向き合い、今までやったことのないことにチャレンジし、9ヶ月間がんばった記録です。
事業所によって状況は様々でしたが、とにかく共通していたのは「今いる職員が活き活きと働き続けるにはどうしたらいいか?」という一点です。
私を含めた3名のアドバイザーが、研修や面談で訪問しながら、それぞれの事業所の課題を抽出し、時にはリーダーの背中を押したりもしながら取り組みました。
「新人が定着する職場」というのは、今いる職員が活き活きと働いている職場です。
プロジェクトを推進するリーダーとなった皆さんが、まずは、自分の事業所を客観的に見てみることから始めました。
あれができてない、ここが問題だ、こんな職員がいてタイヘンだ・・・という話だけではなく(笑)
あなたの事業所の職員は、「ここに来てよかった」「ここで働けてよかった」「あなたと働けてよかった」と思って働いていますか?
「利用者さんから『ここに来てよかった』『あなたがいてよかった』と思ってもらえるように」と、職員には言っていますよね。
利用者の笑顔や生きる力を引き出すのは、職員のほほえみであり、真剣に仕事に取り組む姿勢です。
プロジェクトの中で具体的に提案されたのは、職員の笑顔を増やすしくみの数々でした。
24時間稼動している介護の現場でも、その気になりさえすれば、すぐに取りかかれるツールになっているのが特徴です。
しかし・・・。
そもそも変化を好まない人のほうが多い職場に、新しいことを持ち込むのは並大抵のことではありません。
不平不満を並べることはあっても、改善にむけて自分の行動を変えることには消極的なものです。
プロジェクトリーダーの皆さんにとっては苦しい時期もありました。
車輪が動き出す前の、最初のひと漕ぎの、なんとしんどいことでしょう。
最初の一回転を可能にしたのは、リーダーの意識変容だったり、強い責任感だったり、粘り強さだったりしました。
へこんだり停滞したりすることもありましたが、いったん動き始めると、そこはさすがチームプレイの現場でした!
一生懸命になりすぎて、ちょっとズレが生じたときはアドバイザーの出番でした!
事例集のコメントにも書いたのですが、現状を変えようとする時に重要なのは「ゴールの設定」です。
何のために、誰のために行動を起こすのか。
リーダーは、山を登った先にある「ゴール」を具体的な言葉にして伝える必要があります。
介護の現場にとって、一番わかりやすく実感できる「ゴール設定」は、「利用者の姿」であり「利用者と共にある自分の姿」です。
要するに、「どんな介護がしたいのか」ということですね。
その「ゴール」に向かう登り道の途中にあるのが、「職員が活き活きと働いている職場づくり」であると考えています。
そのプロセスに参加することは、私にとって幸せな経験でした。
「介護の現場って、人と人が出会っていく面白いところだなあ」と、改めて思いました。
事例集の冊子だけでなく、映像にまとめたものも近々できてくるそうです。
プロジェクトの期間を通して、私たちの様子をプロのカメラマンが撮影してくれました。
愛媛県のホームページなどで見られるようになると聞いていますので、またお知らせします。
9事業所の皆さま、ほんとうにありがとうございました。
プロジェクトは終了し、これからが本番です。
一緒に描いた「ありたい姿」の職場づくりを目指して、継続されていくことを願っています。