3月3日と4日に開催した介護塾⑥のテーマは「タッチケア入門~あなたのための特別な時間を~」。
講師は、これまでにも《おふくセミナー》などでお世話になっている高須賀知恵子さん(作業療法士)。
JSCIタクティールⓇケア認定者・日本タッチケア協会認定指導者として、在宅介護看護や地域ボランティア活動などで『触れるケア』を実践されています。
介護関係者を中心に9名が参加しましたが、「そろそろ親の介護が気になり始めていたので興味をもった」という一般の方も来てくださいました。
「触れる」ことで作られる人と人との関係は、人が人をケアする意味の原点を思い出させてくれます。
相手への敬意と思いやりが手を通して伝わっていき、相手の体の反応を手を通して感じていく。
言葉のやりとりが難しい人とも、非言語のコミュニケーションを可能にしてくれる。
未熟児医療や新生児保育のなかから経験的に生まれた『触れるケア』は、ゲートコントロール理論やホルモン分泌の研究に裏づけされて、病気や障害の枠を超えて取り入れられるようになっています。
●ゲートコントロール理論は、皮膚の触覚を刺激することで、痛みが脳に伝わるのを抑制するというものです。
机の角に腕をぶつけたとき、「あたた!」と言いながらその部位を手で押さえますね。
触れられるという刺激は、痛みが伝わっていくゲートの開閉に影響を及ぼしている・・・。
●オキシトシンというホルモンは、出産の時の子宮収縮や母乳分泌の作用で知られていましたが、最近は「幸せホルモン」とよばれていますね。
不安の軽減、リラックス効果、成長ホルモンの分泌、鎮痛や鎮静、消化活動の促進、絆や愛着の形成などなどの作用があり、やさしく触れることで分泌が促されることがわかっています。
『触れるケア』を行っている人も、手を通して相手から触れられてるわけで、双方に絆が生まれるのもうなずけますね。
講座では、触れることが人に及ぼす影響について学びました。
また、高須賀さんが経験した事例などを紹介していただきながら、介護の場面にどう活かすか教わりました。
タクティールⓇケア初体験の人は、背中を。
過去に背中体験済みの人は、おなか、頭、手を。
手や足に行うときは、摩擦を減らすためにオイルを使います。
(無香料のオリーブオイルが基本ですが、相手の好みに合わせます)
タクティールⓇケア体験のあとは、『タッチケア』実践編です。
新生児むけのタッチケアを大人むけにアレンジした方法を教わりました。
とてもシンプルで覚えやすいですし、相手や状況に合わせたアレンジも可能ということでした。
無理をせず、相手本位で、ゆっくり丁寧に、手のひら全体で、『触れる』!
マッサージや指圧ではありませんよ~(笑)
参加者からの感想の一部を紹介します。
●想像していたより緻密なスキルで興味がわいた
●触れるときの力加減や動きの速度が、想像していたより穏やかでびっくり
●頭に触れてもらって、髪の毛は皮膚の一部だということが実感できた
●触れることは良いと知っていたが、ちゃんと根拠を勉強することができてよかった
●利用者さんや家族さんの顔を思い浮かべながら参加した、やってみたい
●在宅介護の家族ができたらいいと思うので、まず家族にやってあげてみたい
●ただ手を置いてもらうだけで、あんなに温かいとは!
●今までやっていたのは「触れる」ではない(笑)
●練習もかねて職場の同僚とやったらコミュニケーションが増えるかも(笑)
●心身の不調をきたしている友人に知らせてあげたい
●触れるケアは、セルフケアにも使える
●触れるケアで、利用者が「特別な時間」を持てるようにしたい
皆さん ありがとうございました。
身近なところから、ぜひ実践してみよう!
講師の高須賀さん、体験を通して学ぶことのできる楽しい講座をありがとうございました。
次のリクエストがきていますので、またよろしくお願いいたします。