「人にやさしい介助を学ぼう」は、キネステティクスⓇのベーシックコースを修了したメンバーが中心となって、3ヶ月ごとに開催している勉強会です。
5回目となった今回、嬉しいことに、キネステティクスⓇ初体験の方が来てくださいました。
新たなメンバーが加わると、良い意味で緊張感がもてますね。
ほんとうに感謝です。
ありがとうございました。
いつものように、自分の体の動きを感じるウォーミングアップから。
ふだんは意識していないような、自分の体の自然な動きを感じる時間。
心地よくて、楽しくなってくる時間です。
今日のテーマは、介助者と要介助者の《環境》です。
課題は、「両肘が曲がって胸の上に乗っており、両膝は伸びてしまって曲がりにくくなっている人」を、仰臥位(あおむけ)から座位(ベッドの端に座る)になってもらう介助。
介助者が足を拡げて腰を落とし、要介助者の首・肩と足を持って、お尻を支点に、「せーの」でクルリと回しながら、起こして座ってもらう・・・。
これが、従来のボディメカニクスの方法です。
介助者のパワー全開、要介助者はされるがまま、お尻は圧とヨレで床ずれに・・・。
さてどうするか!
お互いにやさしく、かつ、要介助者の持てる力を引き出す方法をさぐっていきます。
キネステティクスⓇの概念をどう活かすか、みんなのアタマはフル回転!
しかし、なにより大切なのは、体に触れて感じてみることなのです。
そして、要介助者のモデルになってみることなのです。
皆さんの感想の一部を紹介します。
●3ヶ月の間に、「早く」という現場のパワーに押されてしまっていたことに気づけた
●体に触れて、相手のことを感じる意味が改めて実感できた
●くり返し勉強し、もっともっと経験を積んでいかなければと思った
●あたりまえにやっていた介助の方法は、相手の動きを奪っていることがわかった
●自分の感覚を大切にしたい、それがあれば少しずつでもやれることはある
●3ヶ月の間に少し疲れてきていたけれど、また明日から頑張ることができそう
●相手と一緒にやる、この感覚と考え方を大事にしたい
とても難しい課題へのチャレンジでした。
「これが正解だ!」というような、誰にでも通用する方法はありません。
相手は、モノではなく、人間です。
曲がってしまっているように見える肘も、言葉のかけ方や触れ方ひとつで緊張がゆるんでくるかもしれません。
曲がらなくなっているように見える膝も、「私は動いていいのだ、動けるのだ」という本人の感覚を呼び起こすことで、一緒に動くことができるかもしれません。
限られた空間のように見えるベッドも、工夫することで、使える空間にできるかもしれません。
大切なことは、相手をモノ扱いしないということと、介助者の健康も守るということ。
介助者がパワーを使えば、その筋緊張が要介助者に伝わり、相手の心と体も緊張するのだという、とてもシンプルな理屈です。
環境の調整によって、人の自然な動きをできるだけ再現する。
これが、今日の課題のポイントだったような気がしています。
その調整のために、言葉のかけ方や、体の触れ方や、自分の動き方や、物の使い方がありました。
要介助者の持てる力を奪わず、主体的な動きを封じ込めず、引き出して参加に導く介助。
そのための手間ひまを、おしむことなかれ。
次回は、9月3日(日)10時~12時です。
※キネステティクスⓇ入門コース(体験会)を、8月6日(日)13時半~15時半に開催します。
詳細は改めてお知らせいたします。