ときどき、研修中のワークで「介護の仕事を選んだ理由」を語ってもらうことがあります。
あんまりに直球なので、「ええ~っ!?」という反応が多いです(笑)。
しかし、いざ語り始めると、ほとんどの人の表情は活き活きとしてきます。
それぞれの物語を大切にしてほしいし、職場の仲間と共有する時間があるといいですね。
さて先日のこと、その質問に「お年寄りが好き」と率直に応える人たちと過ごしました。
心から介護という仕事を楽しんでいる人たちと過ごすのは、至福の時でした。
お年寄りとのかかわりをもっと豊かにするために成長したい、という願いをもって来られました。
お許しをいただいたので、その時の話を2回に分けて紹介します。
「お年寄りには優しく話しかけることができるけれど、スタッフには淡々とした態度」
・・・ということが気になっているというAさん。
Aさん自身が気にしている(←ここが重要)のは、
「お年寄りに対するのと同じような気持ちで職員とかかわれない私は、やさしい人じゃないかも」です。
どうしてそう思うの? と深掘りしたり、
たとえばどんなふうに? と具体化したり、はしません。
Aさん自身がそのことを課題に感じているわけなので、
「じゃあどうなりたいのか」を描いてもらいます。
自分で見つけてもらいます。
もちろん、ヒントや材料は提供しながら一緒に考えます。
Aさんが見つけたのは、「暖かい気持ちで挨拶している」自分像でした。
次にやることは、明日からでもできそうな《行動》の目標を決めることです。
「じゃあ職場で実行する方法を考えよう!」
自分で自分のことを、「挨拶すべきだから挨拶している」儀礼的な態度だと感じています。
お年寄りに接するときのように、暖かい気持ちで挨拶できたらいいな、と。
しかし、思考や感情を掘り下げても解決できるとは限りません。
こんなときは、《行動》からいくのが一番です。
Aさんの職場での行動目標は、《挨拶するとき相手の名前も言う》になりました。
お年寄りに話しかけるときには、必ず名前を呼んでからにしているそうです。
「おはようございます」「お疲れさまでした」
↓
「〇〇さん、おはようございます」
「〇〇さん、お疲れさまでした」
これなら、明日からすぐに実行できそうですね。
これなら、相手にも受け取ってもらえそうですね。
これでやってみようと決めた時点で、すでに、優しく暖かい表情になっていました。
整理してみましょう。
Aさんが自分で感じている問題は、「私は優しい人ではないのかも」でした。
課題は、「同僚や部下に優しい気持ちでかかわれない」と自分で思っていることでした。
ありたい自分は、「暖かい気持ちで挨拶している」でした。
行動目標は、「職場で挨拶するとき名前も言う」でした。
お年寄りに向ける優しいまなざしで同僚や部下にもかかわれている、とAさん自身が思えるようになることを願いながら、応援していきます。
次回は、Bさんのお話です。