(昨日の続きです)
よく「相手の身になって、相手の立場になって、考えてみよう」と言われます。
これは、なかなか難しいことです。
想像力や共感力がいります。
こちら側に自分を置いて、もう一人の自分が相手側にいってみるわけですので、こちら側に置いておける自分があるというのが前提です。
自分のことを客観的に見ることができるか。
「危ないでしょ」と背中越しに言いながら車イスを押していく、その行為をしている“こちら側の自分”。
自分本位の行為がお年寄りに『恥』をかかせていると気づいてもらうためのヒント
・自分の言動を客観的に見てみる
・自分の気持ち(心のセリフ)を取り出してみる
↓
・お年寄りが経験している現実を見てみる
↓
・お年寄りの気持ち(心のセリフ)を想像してみる
↓
・それを自分に置き換えてみる
『その人らしさを傷つけ、体の健康をも損なう可能性のある』①~⑩のエピソードは、
安全のため、効率・時間短縮のため、トラブル防止のため、サービス消費のため、という大義名分のもとで日常的に行われています。
「忙しい」「時間がない」を旗印にかかげて自分の言動を正当化し続けていると、
やがて誰のために何をやっているのかわからなくなってきて、
職員自身も『自分らしさを傷つけ、体の健康をも損なう』ことになりかねません。
①~⑩のエピソードには、さらに続きがあります。
⑪無視する…本人がその場にいないかのように、本人の前で会話や行為を続ける
⑫無理強い…本人になにかを強いたり、要求をくつがえしたり、選択の機会を否定したりする
⑬放っておく…願いを聞こうとしない、明らかなニーズを満たそうとしない
⑭非難する…本人の行動や能力不足から起こる行動の失敗を非難、本人が状況を誤解したことを非難
⑮中断する…本人の行為や考えを突然妨げる、露骨に本人なりの行為や考えをやめさせる
⑯からかう…おかしな行動や言葉をあざける、いじめる、恥をかかせる、本人を出しにして冗談を言う
⑰軽蔑する…能力がない、役立たず、価値がないなどと、本人に言う
最後のほうは惨い表現になってきて、「いじめ」や「虐待」という文字が浮かびます・・・。
①~⑰すべて、優位な立場で「チカラ」を持つ者が簡単にできてしまうことです。
介護を仕事にする人は、自分が簡単に優位に立てることを自覚しておく必要があります。
自覚のないまま、お年寄りに恥をかかせ、誇りを傷つけ、生きる力を奪っているかもしれない。
お年寄りと自分の『関係性』というところに注目しよう。
めんどうくさいけど。
誰だって、できれば介護は受けたくない。
それが介護という仕事。