『老人介護~じいさん・ばあさんの愛しかた~』(三好春樹著/新潮文庫)を読む会を開催。
「ポータブルトイレは不潔だからという理由で入院中にオムツにされてしまった」老人が登場する『下からは世の中がよくみえる』をとっかかりにして、専門性と権威、老人とリハビリ、どっちを向いて仕事をするか等々を語り合いました。
老人を主人公に考えれば、濡れたオムツのままでいるほうがよほど不潔なのです。
尿意があるのにオムツをあてられた老人は、「不潔だ」という<権威>から自分を守るために閉じこもっていくのです。
似たようなことは今も変わらずにありますし、
『誰のために何のためにこれをやるのか』という命題は、
介護の仕事に限ったことではないですね。
自分のため、お客様のため、仲間のため、組織のため、地域社会のため。
少なくとも、「言われたからやっているだけ、私には関係ない」にはなりたくないものですね。
そもそもそんな人は、このセミナーには参加していないのですが(^^)
終戦後30年以上も入浴していないという老人にまつわるエピソードは、
なぜ入らないのかという理由のなかにこそ『介護』があるという話。
周囲の尽力にもかかわらず結局入らなかった老人については、
「たいしたもんや。私もそうありたいわぁ。」
「私も、そんな老人になっているかも!」
「そして、そんなあなたのところを訪ね続ける私!」
こんな会話も楽しい時間でした。
この「変わらない」「変えない」ということこそ、老人にとって大事なことであり、そんな老人を「たいしたもんや」と言える人こそが、介護を仕事にしなくちゃいけません。
<不潔>という<権威>のまなざしを老人に向けてしまう人は、介護の仕事に向いていないといえるでしょう。
老人も私たちも「垢では死なない」けれど、プライドを失ったら生きてはいけないのです。
参加者の皆さん共通の今日の着地点は、「仕事は楽しんでやりましょう!」でした。
皆さんの話を聞きながら、私自身も「楽しくなくっちゃねぇ」と改めて思ったことでした。
<楽しい>と、楽(らく)してるとは違いますね。
ひとつ、迷いがふっきれたことがありました。
思いがけない出会いもありました。
久しぶりに顔を見せてくれた出会いもありました。
今日の出会いのすべてに、何度も感謝です。
次回は、10月16日(日)10時半~12時です。
今日の続きですが、初めての参加も大歓迎です。