<床ずれ>をあきらめないで行動した人

訪問介護をしている人から相談がありました。

ほぼ寝たきりの高齢者の体にできている<床ずれ>について、何かできることはないだろうかというものでした。いろいろな環境要因が重なっていて厳しい条件下なのだけれど、日に日に悪化するのを黙って見ているしかないのだろうか、何かできることがあれば、と言われます。

思うような手立てが打てない環境の要因とは、たとえばこんなことです。

●担当医の<床ずれケア>の指示が、乾燥+ガーゼ保護 のみという古典的な方法

●家族は、医者のいうことがすべてなので、介護職の言うことに聞く耳をもたない

●介護事業所の方針も医者の指示ありきで、それ以上積極的にかかわりたくない

 

今の<床ずれケア>は、清潔&湿潤環境と、圧迫&ずれ排除が常識なのですが・・・。

イチ介護職の立場で、はたしてやれることはあるのか?

 

いろいろ聞いてみて推測できたことは、

どうやらその<床ずれ>は何かの菌に感染しているようだということ。

そして、オムツ交換などのときの介護の<手>に、圧迫&ずれへの配慮がなさそうだということ。

 

作戦会議のすえに出した方法は、

①自分が圧迫&ずれに配慮したオムツ交換と、体の向きや支え方の工夫を実践する。

②オムツ交換のときに、人肌くらいの湯で、床ずれの周りの汚れをそっと洗い流す。

  (傷には湯をかけるだけで直接触れないように)

③それを、「聞く耳を持っていそうな」他のスタッフにも伝達する。

 

これなら、イチ介護職の立場で『こっそり』できそうだね(笑)

 

そして一ヵ月後、うれしい報告が届きました。

 

なんと数回やっただけで、明らかに傷がきれいに小さくなっていくのがわかったということでした。

見た目でわかる変化なので、家族の理解も得られたということでした。

何よりも、そのお年よりにとって、少しでも痛みが和らいでくれていたらよいのですが。

 

「寝たきり老人だからしかたない」「呆けているから」というまなざしではなく、

なにかできることはないのか、少しでも楽にしてあげられないのか、

そんな人としてあたりまえの気持ちを持ち続けてくれてありがとう。

思いを行動にしたことが、すごいです。