介護のプロが目指す『清拭』

先日のブログ(家族を救う『手あて)』で「清拭(体を拭く)」について触れたところ、訪問介護の仕事をしている方から問い合わせをいただきました。在宅で寝たきりの人に全身の清拭をするときのことについてでした。最近、清拭するプランが増えているのだとか。病院から在宅へという流れが、このあたりにも現れているのでしょうか・・・。さっそく勉強会をしたので、一部報告します。

訪問介護の現場では、地域性や各家庭の事情が大きく影響しますので、教科書どおりにはいかないことが多いですね。

だからこそ、専門的な知識と技術で工夫する知恵が必要です。基礎があっての応用です。

ご相談の例でいうと、熱い湯も電子レンジも使えない環境で行っているということでした。

「清拭」の目的について、「入浴できないから清拭を」というプランから考えました。

訪問入浴もデイサービスも利用なし。家族による介護もなし。

ただ汚れがとれたらいいのか?

訪問介護がかかわることで、生活の質、生きている意味の質が変わる、そこを目指しましょう。

限られた時間と環境だからこそ、毎回、その日の具体的な目標をもちましょう。

 

介護が目指すのは、「きれいにした」だけではありませんね。

「恥ずかしい」や、「情けない」や、「めんどうくさい」や、「別にどうでもいい」を超えたところ。

温かいタオルで体を拭いてもらう=どんな状態であっても一人の人として大切にされている。

生きる力をとりもどしましょう。

たとえ終末期の人であっても、一日一日、その時その時を生きています。

 

後半は、ベッドで寝ている人(本人の協力は得にくい設定)の腕を拭くという実習をしました。

 

一番の気づきは、『気化熱』のことだったようです。

温かいタオルを離した直後から、す~っと熱が奪われていく感じです。

これまで、プライバシーのために露出を少なくという指導はあったけれど、

『保温』については意識づけできていなかったということでした。

 

二番目は、相手の腕を持つときの指の使いかたですね。

ここを拭くためには、どこをどうやって支えるか。

ついつい指先でつかんだり、引っ張ったり・・・。

やっているほうは力を入れているつもりはなくても、やられてみると不快なのがわかります。

支えているつもりが、全く支えたことになっていなかったり・・・。

これは、拭く側の都合でやっているからですね。

 

「かなり無頓着にやっていました~!」

「そうとう嫌な気分にさせていたかも・・・」

「保温と自分の動作と、ちゃんと意識してやります!」

 

その気づきに、感謝したことでした。

「あなたが来てくれてよかった」と言ってもらえる存在になりますね。

職場の仲間にも広められるとよいですね。 ありがとう。