『倚りかからず』

先日、茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』を紹介したら、いろんな方からメッセージをいただきました。ありがとうございました。

ほかにも大好きな詩はたくさんあるなかで、やはり背筋がピンと伸びるような『倚(よ)りかからず』を選んでご紹介します。初めて読んだとき、「かっこええ~!」と声を出しそうになりました(笑)。

 ←冷蔵庫の上から何を見てるのかにゃ?

  倚りかからず      茨木のり子

 

  もはや

  できあいの思想には倚りかかりたくない

  もはや

  できあいの宗教には倚りかかりたくない

  もはや

  できあいの学問には倚りかかりたくない

  もはや

  いかなる権威にも倚りかかりたくはない

  ながく生きて

  心底学んだのはそれぐらい

  じぶんの耳目

  じぶんの二本足のみで立っていて

  なに不都合のことやある

 

  倚りかかるとすれば

  それは

  椅子の背もたれだけ           小学館「永遠の詩」より