折々のことば(朝日新聞2015.9.12)より。
ある石積み職人の「ほめられなくても、自分の気のすむような仕事はしたいものだ」という言葉を聞いた民俗学者は、そこに職人としての矜持と、「自らが自らに命令することのできる尊さ」を見たという。
広辞苑によると、矜持(きょうじ)とは自分の能力を信じていだく誇り、自負、プライド。
この文章を読みながら、介護の現場にあるイライラについて考えていました。
利用者の「わがまま」や「甘え」「依存」にどう対処したらよいか、という「悩み」をお聞きすることがよくあります。
この「悩み」の背景も、いろいろあります。
たとえば・・・
・どちらかというと「甘え」を肯定的に受けとめながらも、「業務上対応不可能」という理由で苦悩している。
・ある程度は肯定的に受けとめながらも、「自立支援」という理念に反するという理由で苦悩している。
・個人は「甘え」に応えたいが、チームプレイ(または集団生活)の輪を乱すという理由でかなわない。
・個人が、または介護現場の全体が「利用者の甘え」を否定しているため、利用者と対立している。
それぞれ突っ込みどころは多々ありますが、
共通しているのは「保護」や「管理」という名のコントロールだと感じます。
利用者も業務もコントロールできないイライラ・・・。
「あなたは要介護者、私は介護者」という目線ゆえのイライラ・・・。
そろそろ、コントロールする立場から解放されましょうよ。
「わがまま」言ってもらったり、「甘え」てもらったり、ときには「怒り」のはけ口にもなったりなんかして。
利用者にとって必要な存在であることを自覚しましょうよ。
自分の能力を信じられるほどに、『自らが自らに命令』して、知識も技術も人間観も磨いていきましょう。