「生活の場」の不安を煽るひと

6月という時期からでしょうか、食中毒や熱中症、感染症などに関する出前講座が続きました。

グループホームなどでは、介護職員自身が調理にをしたり、利用者も加わったりすることがあります。

生活の場のことなので、一般常識の範疇かと思いきや、そうではありませんでした。

生活の中の「家事行為」としても、他者のための調理や衛生管理を経験していない人が多いという点。

人によって「常識」のものさしが異なるという点。

不安を煽るだけの看護職があちこちにいる点。

一方的に知識伝達して終わる講座にはしたくないので、必ず現場の声を聞かせてもらっています。

「冷凍肉の解凍法」から「水虫」や「エイズ」まで、

多岐にわたる疑問と不安に直面した1か月でした。

不必要な不安を少しでも減らせるように、混乱した知識を交通整理できるように、言葉を尽くしたつもりだけれど、「100%の安全」なんてどこにもない。

HIVの感染経路はこれこれなので、日常の介助行為で感染することはない・・・こんなことを介護研修の場で話すとは思ってもいませんでした。

 

それにしても衝撃だったのは、「素手で入浴介助するのは危険だ、ありえない」

こんなことを主張して現場を混乱させているのが、ほかならぬ看護職だという現実でした。

「患者は感染症をもっているものとして、病院では必ず手袋をする」ものだということでした。

 

きっと、血圧を測るときも手袋をしているのでしょうね。

食事介助するときも、ゴーグルとマスクと防護服で行っているのでしょうね。

 (唾液や鼻水や嘔吐物がかかったら危険だから)

お年寄りがあなたに触れる時には、必ず手袋をしてもらってくださいね。

あなたも感染症をもっているかもしれませんから、お年寄りの身が危険ですからね。

 

もし、その看護職が私の目の前にいたら、こんなことを言ってみたかったなあ。

 

介護vs看護の構図については、似たような話を複数のところで聞きました。

いったいぜんたい、いつまでこんなことをやっているのだろう。

「高齢者施設における看護師の役割」の著者:鳥海房枝さんは、

利用者の状態を見るのは血圧でも酸素飽和度でもなく、手と目と耳とを使うことだ、と言っておられます。

 

目の前のお年寄りに、どんな「生活」「人生」を過ごしてもらいたいか。

ここに、看護職も入っていきましょうよ。

すごくいい仕事と思うけどなあ。

そして、ケアする人をケアするという看護の視点。

私も あなたも 食べて出して 笑って怒って泣いて いつか死ぬ日までは 同じ時を生きている。