今日の愛媛新聞で、ナイチンゲール「看護覚え書」が紹介されていました。
知る人ぞ知る『近代看護教育の創始者』ナイチンゲールの著書は、1859年に発行されました。
今も『看護教育の必読書』だそうです。
私が持っているのは現代社の1978年第3版です。
だいぶん黄ばんでいますが、
今も身近に置いている大事な本の一つです。
「Notes on Nursing
What It Is and What It Is Not」
目次を拾ってみると、
換気と暖房 住居の健康 小管理 物音 変化
食事 栄養 ベッドと寝具類 陽光 部屋と壁の清潔 からだの清潔 おせっかいな励ましと忠告・・・。
たとえば「小管理」とは、「あなたがそこにいるときあなたがすることを、あなたがそこにいないときにも行われるように管理する方法」です。
どんなに献身的な人でも、いつもそこにいられるわけではない。
・・・にもかかわらず、この「小管理」について考える人がほとんどいない、と指摘しています。
これは、今の在宅介護なら「ケアマネージメント」に近いことでしょうか。
「小管理」されていないために患者が味わう苦痛について挙げている事例は、
まさに今も現場で起きていることでフクザツな気分になります。
サービス提供者側の都合の中にいる人が、もの言わず味わっている苦痛について、
私たちは想像力をもたなければなりません。
「小管理」の方法を追求し創造しなければなりません。
でも、私がすることを他の人にもしてもらえるように・・・ってホント難しいです。
この職務を自分の手で果たすにはどうしたらいいかという「問い」ではなく、
その職務がいつも果たされているようにするためには自分がどう準備できるかを問へ、
とナイチンゲールは言っています。
「小管理」の章には、「責任をもっているとはどういうことか」についても述べられています。
『最大の規模の災害からほんの些細な事故に至るまで、その原因をたどってみれば(あるいはたどるまでも
なく)「責任をもつ」誰かがいなかったか、あるいは「責任」のとり方を知らなかったためであることが多い。』
どんな子供でも、そんなことをすれば事故になると知っているようなことが「原因」になる理由は、
『責任をもつとはどういうことかを、あるいは責任者が「誰」であったかを誰も知らなかったということにつきる』
どこを開いても、理路整然と痛快な文章を読むことができて励まされる本です。
同時に、人が人をケアするということの原点に立ち戻り、気が引き締まる本です。
学生の時の書き込みや線引きを見て、ひとりニヤニヤしてしまう本でもあります。