『認知症「ゆる介護」のすすめ』

認知症「ゆる介護」のすすめ』 柳本文貴著 メディカ出版

認知症の本が巷にあふれていますが、

これは「在宅護の“イライラ”を“ほっこり”に変える」

というトンチのきいた内容でした。

おかしなことはおかしいと言ってくれている痛快さも。

『家での暮らしがむずかしくなる本当の原因は、

ヘルパーさんをはじめとするケアの担い手の不足や 

力量の不十分さです。また、一生懸命やっていても、方向がちがっていたり、制度の使いにくさに阻まれることも』

一部紹介すると・・・こんな感じです。

 ◎認知症は治らなくても機嫌は直る

 ◎便を憎んで人を憎まず

 ◎風呂嫌いには、気持ちを先に温める

 

『認知症の方のケアに「正しい答え」はない』

『あれやこれや、ふりまわされながら試してみて、

 まあ3割くらいうまくいけば、上々でしょう』

『認知症を防いだり、治したりしようと頑張るのは、

 じつは認知症を、憎むべき、やっつけるべき対象

 としてとらえているということ。』

 

「訪問介護」では、「認知症のお年寄り」がいる場所に「介護する人」が行きます。

お年寄りのホームグラウンドでの奮闘です。

なので、お年寄りのほうが『主』であるということが、比較的守られやすいのかなと思います。

 

デイサービスやグループホームや老人ホームなどの「介護施設」では、

「介護する人がいる場所」に「認知症のお年寄り」がやって来ます。

主客の逆転現象が起きやすいと思います。

集団生活とか安全とかの名の下で、

自由で多様な自己表現をする人は“問題老人”のレッテルを貼られてしまうのです。

「認知症」で一番王道をいくはずの「覚えられない」ということさえ、

介護する人から否定されたり非難されたり忘れられたりして、

「何度も同じことを質問する」とか「何度も外に出ようとする」とか言われて“問題老人”にされてしまうんです。

業務に支障があったり、他のお年寄りから苦情を言われたりして困るから。

 

  『「すぐ忘れること」を、忘れないで

    とくに身内の方は、

    認知症の人に記憶の障害があることを、

    すぐに忘れてしまいがちです。

    そっちの記憶障害はホント深刻。』

 

これ、私は、施設の介護職の人たちに言いたいです。