今朝の「折々のことば」(朝日新聞)は『みおつくし』。
澪(みお)とは船の航路のことで、川底の深さを示す標識を『みおつくし(澪標)』といいました。
その意匠は、水の都:大阪の市章になっています。
ちょうど先日、「源氏物語」を愛読する利用者さんから第14帖「澪標」を教わったところでした!
船で住吉参りをした源氏が明石の君に贈った歌と「引き歌」について講義を受けたという次第です。
←多肉植物の花が咲きました
←伸びすぎた多肉から株分けを試み中。
わびぬれば今はた同じ難波なる
みをつくしても逢はむとぞ思ふ
『後撰集』 元良親王
「みおつくし」は「身を尽くし」の掛詞で用いられ、
「身を滅ぼしてでも逢いたい」というこの歌は、
源氏物語「澪標」で引き歌として使われています。
住吉の浜で源氏が明石の君を思って、
ふと「今はた同じ難波なる」と口にするという場面。
このあと源氏が明石の君に贈った歌
みをつくし恋ふるしるしにここまでも めぐり逢ひけるえには深しな
歌をうけとって詠んだ明石の君の歌
数ならでなにはのこともかひなきに などみをつくし思ひそめけむ
(とるにたらない身の上で何もかも諦めていたのに どうして身を尽くしてまでお慕いするのでしょうか)
先人の詠んだ歌を「引き歌」として奥行きを与え、
いくつもの掛詞を重ねていって源氏や明石の君の心情を深く深く表現・・・。
「澪標」の一場面から、紫式部のすごさを熱く語ってくださいました(^.^)
「折々のことば」では、このように。
澪標・・・ものごとの表面の様子に惑わされず、本当に大事なものを知り、それを守るという志
身を尽くす・・・何ごとにも誠意をもってあたるということ
むかしむかし、「澪つくし」というNHKの朝ドラがあって、そうとう記憶に残っているドラマのひとつです。
千葉の醤油づくりの老舗が舞台で、大正から昭和の激動の時代を生き抜くヒロインの物語でした。
「みおつくし」 美しい言葉ですね。