吐いた唾は飲めぬ

「吐いた唾は飲めぬ」

ある利用者さんから聞いた強烈な言葉です。

提供された介護への疑問(おふくではありません)

を先方に伝えた時の様子を私に話してくれていたときのことでした。


←こたつ布団を片づけられてしまったさっちゃん

 日の当たる場所で美しく坐っていますが、

 なんとなく虚ろな顔に見えてしまいます。

<疑問>のもとになっているのは、

痛みや不安感への配慮がないということでしょう。

要するに、「雑だ」ということでしょう。

疑問に思ったことを率直に伝えたつもりが、

思わぬ反撃(キツイ一言)をくらったというのです。

言い返して喧嘩することもできたけれど、

相手の反撃してきた言葉を聞いて、

「吐いた唾は飲めぬ」という諺を思いだし、

自分は吐かずに飲み込んだということでした。



さすが年の功ですね、なんて感心している場合ではありません。

わたしたちは、何らかの困難をかかえた人の支援をしているのですから。


この方が飲みこんで『沈黙』を選択したことを、相手はどう理解していたでしょうか。

あとで冷静になったときに、ちょっと言いすぎたかも、くらいの反省はしてくれたでしょうか。


この方の言い分が「正当性に欠ける」という判断からの『反撃』だったのでしょうか。

それとも、痛いところをつかれたゆえの『反撃』だったのでしょうか。


  いずれにしても、いったん受け止める態度を示さなかったことは間違いありません。

  そのうえ、否定的な感情のこもった『反撃』をしてしまったようです。

   ・・・苦情対応の基本の基本の研修が必要ですね(^_^;)


こういう『我慢』や『あきらめ』の上に成り立っていないかどうか。

一方的なサービス提供に甘んじていないかどうか。

ときおり自主点検する必要があります。


利用者さんと『協働』することで生活づくりをしていく、

その謙虚さを失くさないように、と教わりました。