「猫は生きている」 理論社
作:早乙女勝元 絵:田島征三
昭和20年3月10日未明の東京大空襲を描いた絵本です。
先月の『ときめきブックレビュー』にお誘いしたのだけれど都合で参加されなかった方に、「もし参加するなら?」とリクエストして紹介してもらった本です。
紹介してくれた方は、
「子どもたちに伝えていきたい」
という思いで選んでくれました。
昌男という男の子の家族と
昌男が「稲妻」と名付けた野良猫の家族。
あの日 母と子がどのように生きて殺されたか、
猫の親子がどのように生き延びたか。
早乙女氏・田島氏の戦争体験と平和への強い祈りが込められています。
作者のあとがきには、
「戦争の本質を見きわめ、正しく継承しようとする教師や母親、またこれからの世代に」とありました。
東京大空襲については、
2時間余りの爆撃で約10万人の非戦闘員が殺されたにもかかわらず、
その記録や検証がきちんとなされていないということがありました。
作者の早乙女氏は、1970年に「東京空襲を記録する会」の設立につくされ、
反戦と平和を訴え続けています。
⇒ 早乙女勝元編著 「写真版 東京大空襲の記録」 には、
昌男の母親のモデルとなった話が記録されています。
絵本も写真版も『おふく文庫』にありますので、
関心のある方はぜひ(^.^)
集団的自衛権について閣議決定された7月1日は、
日本の歴史にどんな痕跡を残すのだろう。
「抑止力を高めることになる」 とはどうしても思えない。
ほんとうの「抑止力」 は 「非戦」「平和主義」 しかないのではないか。
朝日新聞に掲載されていた植木千可子・早大教授の言葉から引用します。
『国民一人ひとりが主体的に考えることを習慣づける必要がある。
何よりも、戦争をするしないを決めるのは、
国民の責任だという自覚と気概を持つことが大事だろう。
こんなはずじゃなかったのに、というせりふは、
民主主義国家の国民には許されない。』