「猫語の教科書」の魅力

ねこ好きにはたまらない一冊 「猫語の教科書」。

作者のポール・ギャリコは、

1970年代のパニック映画「ポセイドン・アドベンチャー」の原作者でもあり、

「スノーグース」「ジェニィ」などのファンタジーでも知られています。

「猫語の教科書」には、

以前ブログで紹介した河合隼雄先生の「猫だましい」を通じて出会いました。

猫嫌いの編集者の家に届いた“謎の原稿”(実は猫が書いた「人間のしつけ方」本)。

“謎の原稿”の翻訳を頼まれた作者(ポール・ギャリコ)が、

猫語を人間語に翻訳して出版する・・・そんな楽しい話です。

 

第1章「人間の家をのっとる方法」 に始まり 第17章「じゃまする楽しみ」 ・・・ などなど。

ある賢い牝猫(生後6週間で母を交通事故で失ったノラ猫)によって書かれた 「どうしたら良い暮らしを保証してくれる家を乗っ取れるか」 という子猫のための教科書。

 

「猫好きな人は ますます猫に夢中になるのではないか」 という作者の忠告にもかかわらず、

猫嫌いの編集者は、

「これを読めば猫好きどもも目が覚めて、あのウロチョロ目ざわりな役たたずの生き物もおしまいだ」 と 得意になって出版するのです・・・。

  

さっちゃんと暮らすようになって改めて読んでみると、

何倍も楽しく ますます夢中になってしましました。

作者の言うとおり 猫好きの人は薄々わかっていて猫の魔法にかけられているのです。

ですから 実はこの本の魅力は、

猫の目を通して描く 作者の人間観察の素晴らしさだったりもします。

 

第14章「愛について」より一部抜粋すると・・・。

『愛とは難しくて繊細なもの。ときには知らないうちにあなたの中に入りこんできます。

 ・・・人と関係をもつと、十中八九、愛が生まれますが、愛はとても神秘的で、とらえどころがなく、

 原因もわかりません。・・・でも、愛は本能とは違います。

 猫は本能で結婚相手を探しに出かけますが、愛はこれとは別のもの。

 ・・・人間には愛と呼ばれる、強くてすばらしいものがあって、彼らがあなたを愛し、

 あなたも彼らを愛するとき、他のことはいっさいどうでもよくなります。

 でもね、ここで忠告しておきますが、あんまり愛に溺れて自分を守ることを怠ってはいけません。

 この本で身を守るいろいろな方法を学んで、しっかり身につけてください。・・・』

 

とくべつ猫好きではない方にも おすすめしたい一冊です。

「猫」と「人間」の暮らし方の知恵は 実は 「人間」と「人間」の暮らし方の知恵なのかもしれません。