今日の一冊は 吉本隆明著「真贋」(しんがん) です。
真贋とは ホンモノかニセモノか ということ。
2006年に行われた吉本氏へのインタビューを文章にしたものなので 読みやすいです。
文庫本の帯には「この本を持っていれば 普通の意味での迷いは消える」という
作家:よしもとばななさん(吉本隆明氏の次女)の言葉がありました。
1年余り前 ふらふらグラグラしていたときに 出会って読みました。
「人間にとって一番大切なこと」は、
「その時代時代で、みんなが重要だと思っていることを少し自分のほうに引き寄せてみたときに、
自分に足りないものがあって行き得なかったり、行こうと思えば行けるのに気持ちがどうしても
乗らなかったりする、その理由を考えることだ」 と。
ばななさんの言うとおり この言葉が迷いを消してくれました。
明るさは滅びの姿・・・自分の毒に責任を持つ・・・起源を見れば本質がわかる
老人はより人間らしい人間・・・甘えが強くてどこが悪い・・・進路に迷ったら両方やる
などなど 目次を見ているだけでも ワクワクしてきます。
たとえば「生き方は顔にでる」の章の「老人はより人間らしい人間」より。
「・・・もっとも、リハビリをしながら、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)の人から
いかにも老人扱いをされると癪にさわったりすることがあって、そんなときは、
『俺は普通の人間と比べて、身体能力動作が動物と大きくかけ離れているだけなんだ』
と心の中で強がっています。」
「・・・理屈から言うと、老人というのは、人間の中の動物性が極限まで小さくなった、
より人間らしい人間であって、それは老人が本来評価されるべき点だと思うのです。
若い者は年寄りを侮りますが、僕に言わせれば、老人は『超人間』なのです。」
その人自身の魅力は三十代半ばを過ぎてから出てくるが、
老人の部類に入るようになってからこそ はっきり出てくる と。
どういう毒が自分にまわっているかを冷静に考えることができ、
良いことはさりげなく 言いにくいことをはっきり言える そんなオトナになろう。