こころして触れる(2)

起業を考えるきっかけになった 一年前の家族の入院でのエピソードから。

治療の経過が見通せる入院だったので、

昼間は私が付き添うつもりで4人部屋にしました。

 

でも、

カーテンの向こうで交わされる 同室の患者さんたちと職員のやりとりを聞いていられなくて、

個室に変わりました。 

逃げ出しました。

指導管理の名の下の 強者-弱者(患者) のやりとり。

あるいは 笑うに笑えない ちぐはぐなやりとり。 

それでも 患者さんたちが 「ありがとう」「すいません」を言い続けることが辛かったのです。 

それでも ナースコールを押して「お願いします」と言わないといけないのだから。

「理解力や判断力がなくて指示がとおらない」・・・

「ニンチが入っている」(注:認知症だということらしいです) ・・・

そんなふうに見ているから、

患者さんを幼子のようにあしらったり叱ったりできるのだろうか。

 

患者さんたちが「ありがとう」「すいません」と言っていることに鈍感すぎる。

「治療の場」「安全管理」という名分で、

外の世界ならあり得ないことが行われているのではないのか。

 

自分が弱者であることを受け入れて適応しようとしている

 ・・・そんな患者さんの“痛み”に対して 感受性を取り戻してほしい。

きっと新人の頃は違っていたはずだから。